ヨーグルトの歴史


ヨーグルトが最初につくられた正確な記録や文書はありませんが、
発酵乳と人間の関わりは、紀元前五千年ぐらい前にさかのぼります。
これは、人類の食生活と共に生まれ、文化の発生と同時であったといってもよいでしょう。


ヨーグルトのような発酵乳は、むしろ、酒と同様に自然に生まれたものであって、
意識的に作ろうとして出来たものではないようです。
乳をうっかり置き忘れていたら、酸味のあるさわやかな飲み物に変わっていたという、
偶然と人間の知恵と工夫が重なり合って、
乳の保存法として日常生活に積極的に取り入れられるようになったと考えられます。


バルカン半島に住み、羊の大群を飼育することで知られていたブルガリアの先住民である
トラキア人は、素焼きの壷で「プロキッシュ」と呼ばれる発酵乳をつくって飲用していました。
後世になって、この地方にスラブ人が住むようになりましたが、
彼らもまたヨーグルトをつくるようになったのです。
おそらく先住者からヨーグルトの魅力と保健効果を教わり、つくるようになったのでしょう。
現在のブルガリアではヨーグルトのことを「キセロ・ムリヤコ」といっています。
ブルガリアで生まれ育った「キセロ・ムリヤコ」がトルコ語のヨーグルトの名で世界に紹介され、
共通語になったのはブルガリアが長い間トルコ帝国の支配下にあったなごりと思われます。


19世紀になって、ヨーグルトの普及、発展を語る上で欠かせない人物、
エリーメチニコフ(1845−1916)があらわれます。
生物学者のメチニコフは「ブルガリアを中心としたバルカン半島に
100才をこえる長寿者が多いのは彼らがヨーグルトを常食しているからである。
ヨーグルトの中に含まれる乳酸菌が腸内で悪い細菌の繁殖を抑え、
健康と長寿に関与している。」との論文を発表しました。
これが有名な不老長寿説であり彼がノーベル生理医学賞を受賞したことも
手伝ってヨーグルトは広く世界に普及するところとなりました。



ヨーグルトの栄養


ヨーグルトは「完全栄養食品」である牛乳に、
乳酸菌のすばらしい効果をプラスした食品だということができます。
そのため、ヨーグルトは牛乳の栄養分をそのまま、より有効な形で受け継いでいます。
では具体的にヨーグルトにはどのような栄養分が含まれているのでしょう。


【たんぱく質

たんぱく質は人間の体をつくる重要な栄養素です。
体内に入り、酵素で分解されたたんぱく質は、
アミノ酸となって人体の細胞等、体の組織をつくります。
たんぱく質は牛乳やヨーグルトに約3.4%含まれています。
牛乳中のたんぱく質である「カゼイン」はヨーグルトの中では、
乳酸発酵によって豆腐のように固まっていますが、
これには牛乳よりも消化吸収されやすくなっているという利点があります。


脂 質】
脂質(脂肪)は主に体を動かすエネルギー源となります。
牛乳やヨーグルトには約3.2%の脂肪が含まれています。
牛乳中の脂肪はもともと粒子が細かく消化されやすい形ですが、
ヨーグルトではさらに細かく、消化吸収されやすくなっています。


炭水化物】
炭水化物(糖質)は体を動かすエネルギー源となります。
炭水化物は牛乳中に乳糖の形で含まれています。
乳糖はエネルギー源だけでなく、乳児の脳や神経系をつくる、
カルシウムや鉄分の吸収、整腸などの働きがあります。
ところが、日本人のなかにはこの乳糖を体内で分解できずに、
おなかをこわしてしまう人がいます。
牛乳を飲むとおなかがごろごろする…といった人はこのタイプで「乳糖不耐症」といいます。
ヨーグルトでは乳酸発酵によって、この乳糖がすでに20-30%分解されています。
また、ヨーグルト中の乳酸菌が出すラクターゼという酵素が残りの乳糖を体内で分解するので、
乳糖不耐症の人もヨーグルトなら安心して食べられます。

【カルシウム】
牛乳の最大の長所ともいえる豊富なカルシウムもヨーグルトはしっかりと受け継いでいます。
カルシウムは1日に600mgは摂りたいのですが、
日本人は平均して100mg程度のカルシウムが不足しているといわれています。
この不足分は100gの牛乳、ヨーグルトで補える量です。
しかも牛乳のカルシウムはその吸収率が70%もあり、
これは小魚の20%と比べると驚くほど優秀なカルシウムであるとわかります。
そして、ヨーグルトになるとカルシウムは乳酸とくっつき乳酸カルシウムとなり、
さらに腸から吸収されやすい形になっています。
カルシウム以外にもカリウム、鉄、リンといったミネラルもヨーグルトには含まれています。

【ビタミン】
ビタミンは、体が機能するときに、潤滑油となってその動きをスムーズに保ちます。
ビタミンの種類によって働きが違い、足りなくなると欠乏症があらわれます。
日本人に不足しがちといわれる。ビタミン「A」、「B1」、「B2」、「C」のうち
ビタミンC以外は牛乳に含まれており、ヨーグルトにも同様に含まれています。
ヨーグルト200mgで日本人のビタミン不足はほぼ解消される、といわれています。

このように、ヨーグルトは三大栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物)と、
ビタミンC以外の全てのビタミン、カルシウム等のミネラルを含んだ
良質の健康栄養食品であるといえます。



善玉菌と悪玉 菌


人間の腸の中には100種類、100兆個もの細菌がすみついていることがわかっています。
細菌は形によって大きく球菌とかん菌に分けられます。
かん菌は円筒の形をした細菌で、ビフィズス菌、大腸菌、チフス菌などはかん菌の仲間です。
球菌には分裂した後の細胞が1つずつに分かれる単球菌と、
2つ以上の細胞がつながっている連鎖状球菌があります。


こうした分類の仕方とは別に、細菌はその働きによって、乳酸菌と腐敗菌に分けられます。
乳酸菌は炭水化物を発酵させ、主として乳酸をつくり、それに酢酸、エタノール、
炭酸ガスなどもつくる細菌で人間や動物の腸だけでなく、食品の中にも含まれています。
乳酸かん菌、ビフィズス菌、レンサ球菌……と数多くの種類があります。


一方の腐敗菌は、腸の中でたんぱく質を分解して、アンモニア、硫化水素、
アミン、インドール、フェノールなどの物質を作り出します。
中でもアミンは発がん物質であるニトロソアミンの原料となり、
インドールやフェノールにはがんを助長する作用のあることも分かっています。
腐敗菌に属するのはバクテロイデス、嫌気性レンサ球菌、大腸菌、
緑膿菌、ウェルシュ菌、ブドウ球菌、赤痢菌、コレラ菌、サルモネラ菌などです。
下痢や腸炎を引き起こす菌はすべて腐敗菌です。


このように、腸の中には人体に有用な菌と危害を加える有害菌が存在していて、
わかりやすくいえば「善玉菌」と「悪玉菌」がいるわけです。
善玉菌と悪玉菌のほかに、特に良い働きもしないが、
悪玉菌ほど有害でもないという細菌もいます。
これらの細菌は腸内に善玉菌が多いときにはおとなしくしていますが、
善玉菌が減って、悪玉菌が増えると悪さを始めるので日和見菌と呼ばれています。
腸内の細菌の総量はだいたい決まっていて、一般に善玉菌が増えれば悪玉 菌は減り、
善玉菌が減れば、悪玉菌が増えることになります。
腸内に悪玉菌が多いと、下痢や便秘、食中毒、長い間にはがんを引き起こす原因にもなります。
逆に善玉菌が多ければ、悪玉菌の作用も抑えられます。
つまり腸の中では常時、善玉菌と悪玉菌が勢力争いをしていて、
その結果によって健康であったり、病気になったりする訳です。


ヨーグルトに含まれる乳酸菌は善玉菌の代表格です。
ヨーグルトを食べるということは、
日夜悪玉菌と戦いつづけている私達の体に強力な援軍を送ることと言えそうです。



ヨーグルトの整腸作用
 

人間の身体は、内部はアルカリ性で、外側の肌は病原菌から身体を守るために
弱酸性でできています。(酸の刺激で病原菌に対抗する為)
しかし、口から侵入してきた病原菌は食道、胃を通り腸にまで達してしまいます。
腸の中はこのような外敵に対抗するために、外側の肌と同様、本来、弱酸性になっています。
ところが、現代人の生活習慣やストレスは、
酸性であるべき腸の中をアルカリ性に変えてしまうのです。
そして抵抗力のないアルカリ性の腸のなかでどんどん病原菌が増加し、
肌荒れ、にきび、頭痛、肩こり、高血圧、高コレステロールさらに進行すると、
大腸ガンまでひきおこしてしまいます。


では、腸がアルカリ性にならないように、
またアルカリ性になってしまった腸を再び酸性に戻すことはできないのでしょうか?
いえ、そんなことはありません。これこそがヨーグルトの持つ整腸作用で、
ヨーグルトに含まれるビフィズス菌が腸内で酸を発生させ、腸内を酸性に保ってくれるのです。


恐ろしい大腸ガンにも及ぶ腸のアルカリ性化。それを防ぐ秘密はヨーグルトにあったのです。
 
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